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【用語解説】IPアドレスって何?数字の正体をやさしく説明

はじめに|「IPアドレス」、あなたは説明できますか?

Aさん
スマホが「インターネットにつながらない」って出た。数字の設定が変なのかな…?
Bさん
その“数字”、もしかしてIPアドレスのこと? 仕組みを知ると、原因の切り分けがラクになるよ。

テレワークやクラウド利用が当たり前になった今、避けて通れないキーワードがIPアドレスです。
「IPアドレス」は、インターネットや社内ネットワークで機器を見分けるための数字(住所)です。設定画面で見かけても難しく感じますが、役割はシンプルです。本記事では、専門用語をできるだけ減らし、必要な言葉だけで仕組みを説明します。


1. ひとことで言うと|IPアドレス=“ネット上の住所”

IPアドレス(Internet Protocol Address)は、インターネットや社内ネットワーク上で機器を識別する番号(住所)です。

Webページを開く、メールを送る、クラウドに保存する――どれも住所があるから相手に届きます。

町・建物・部屋番号に例えると…

  • インターネット全体=巨大な町
  • ルーター=町の入口(門番)
  • あなたの端末(PC/スマホ)=建物の各部屋
  • IPアドレス=住所や部屋番号(相手が迷子にならないようにする目印)

2. 2つの見た目|IPv4 と IPv6

種類見た目(例)桁数のイメージいまの使われ方
IPv4203.0.113.1532ビット(約43億通り)もっとも普及している古参選手
IPv62001:db8:1234::1128ビット(ほぼ無尽蔵)今後主役に。速さや混雑回避にも期待
  • なぜ2種類?
    昔から使われてきたのが IPv4 です。使える番号は約43億通りしかありません。
    ところが今は、PCやスマホにくわえ、家電やセンサーなどたくさんの機器がネットにつながります。すると、IPv4の番号が足りなくなる問題が出てきました。

    そこで登場したのが IPv6。こちらは桁(けた)が大きく、ほぼ無限に近いくらい番号を用意できます。ただし、世の中の回線や機器をIPv4からIPv6へ一気に入れ替えることはできません。移行の途中なので、しばらくは IPv4とIPv6を両方使う(デュアルスタック)形が一般的です。

    利用者が特別な操作をする必要は多くありません。環境が対応していれば自動でIPv6を優先したり、必要に応じてIPv4に切り替わったりします。つまり、「2種類ある」のは、番号不足を解決しつつ、無理なく移行するためなのです。

3. “公開”と“プライベート”の2つの住所

  • 公開(グローバル)IPアドレス:インターネット側から見える“外向きの住所”。プロバイダーや携帯キャリアから割り当てられます。
  • プライベートIPアドレス:家庭や会社の内側だけで使う“内向きの住所”。

ルーターとNAT(変換)の働き

家庭やオフィスでは、ルーターNATという仕組みで、
内側の多数(プライベートIP) ⇔ 外側の1つ(公開IP)を仲介・変換します。
これにより、1回線で複数の端末が同時にインターネットを使えます。

ワンポイント:スマホ回線でも同様の“仲介(キャリアグレードNAT)”が行われることがあります。外から直接あなたの端末に届くのではなく、必ず中継点(門番)を通るイメージを持てると◎。


4. IPアドレスの配り方|DHCPと静的割り当て

  • DHCP(自動割り当て)
    ルーターが「空いている番号を自動で配布」します。接続するだけで使えるのはこのおかげ。
  • 静的(固定)割り当て
    サーバーやプリンターなど、いつも同じ番号でいてほしい機器に手動で番号を固定するやり方。社内運用やトラブル切り分けがラクになります。

5. 名前でアクセスできるのはなぜ?——DNSの役割

Webサイトの本当の住所は「203.0.113.15」のような数字の並び(IPアドレス)ですが、人間は「example.com」のような名前のほうが覚えやすいですよね。ここで活躍するのが DNS(ディーエヌエス)。かんたんに言うと、名前から住所を教えてくれる案内所です。

あなたがブラウザにサイト名を入力して Enter を押すと、まず端末は自分のメモ(前に調べた住所の控え)を確認します。メモに無ければ、近くの案内所(DNSサーバー)に「この名前の住所を教えて」と尋ねます。案内所がすぐ分かれば住所(IPアドレス)を教えてくれますし、分からなければ知っていそうな別の案内所に聞きながら、最終的にその名前の“持ち主”にたどり着いて正しい住所を受け取ります。

住所が分かったら、端末はその住所に向けてデータを送ります。さらに、同じ名前をすぐまた使うかもしれないので、その住所をしばらくメモしておきます(この「しばらく」はサイト側の決まりに従います)。次回はメモを見ればいいので、より素早く開けるわけです。

ときどき、同じ名前でも案内される住所が時間や場所で変わることがあります。これは、混雑を避けたり、あなたにいちばん近い支店へ案内したりするための工夫です(配達が速くなるイメージ)。家庭や会社では、ふつうは回線業者や社内のDNSがこの案内役をしてくれます。要するに――DNSは「名前→住所」の橋渡し役。名前だけ入力すれば目的地に届くのは、この仕組みのおかげなんですね!


6. “よくある勘違い”を3分でリセット

  1. Wi-Fi=インターネットではない
    Wi-Fiは無線でつなぐ方法(規格)です。インターネットの有無とは別物。
    ※Wi-Fi® は Wi-Fi Alliance の登録商標です。
  2. IPアドレスが1つなら端末は1台だけ?
    ルーターのNATにより、1つの公開IPの裏に多数の端末がぶら下がれます。
  3. IPアドレスがバレると住所が特定される?
    IPから推測できるのは多くの場合通信事業者のエリアまで。正確な自宅住所が自動でわかるわけではありません(各国の法律に基づく手続きなしに個人特定はできません)。ただし、アクセス記録としてIPが残る点はプライバシー上の重要ポイントです。
  4. 再起動でIPが毎回変わる?
    公開IPは動的(変わる)なことも固定(変わらない)なこともあります。契約や環境次第。
    内側のプライベートIPも、DHCPの期限切れなどで変わる場合があります。

7. いま知っておきたい“IPアドレスのトレンド”

  • IPv6対応の普及
    住宅・オフィス・クラウドのIPv6対応が進行中。混雑の回避や通信品質の向上が期待できます。
  • IoT(モノのインターネット)の爆増:
    センサーや家電など小さな端末
    がネットにつながる時代。番号管理(IP管理)の重要性は右肩上がり。
  • ゼロトラストや分離ネットワーク
    社内でもネットワークを細かく分ける(セグメント化)設計が主流に。万一の侵入時に被害範囲を狭くできます。
  • 来訪者向け(ゲスト)ネットワーク
    社員用と来客用でIP帯(ネットワーク)を分離同じ場所のWi-Fiでも中身は別世界にする設計が増えています。

8. これだけは押さえたい“専門用語ミニ辞典”

  • サブネット:同じ仲間のIPをまとめた“町内会”。
  • サブネットマスク/CIDR(/24など):どこまでが“町名”で、どこからが“部屋番号”かを示す記法。
  • デフォルトゲートウェイ:外の世界へ出るために通る“門の住所”(たいていルーター)。
  • ループバック(127.0.0.1 / ::1):自分自身を指す特別な住所。
  • リンクローカル(169.254.x.x / fe80::/10):DHCPで住所がもらえなかった時などに端末がとりあえず自分で名乗る臨時の住所。
  • VPN:暗号の“トンネル”を掘って、安全に離れた拠点へつなぐ仕組み。IPアドレスは接続先の社内ネットワークの帯を使うことがあります。

9. 困ったときの“最短セルフチェック”

  1. 他の端末やモバイル回線ではアクセスできる?
    → できるなら、自端末 or 自宅内の問題の可能性。
  2. ルーターを再起動しても改善なし?
    回線事業者側か、機器の設定の可能性。
  3. 自分のIPアドレスを確認(「IP アドレス 確認」で検索すると外向きIPがわかるサービスが見つかります)。
  4. 会社なら、固定の機器(プリンター/NAS)は静的IPになっているかも。番号の重複や範囲外設定に注意。
  5. セキュリティソフト/VPNの一時停止で挙動が変わるか確認(戻し忘れ厳禁)。

まとめ|IPアドレスがわかると“なおし方”が見えてくる

  • IPアドレス=ネット上の住所。端末やサービスは住所を手がかりに会話します。
  • 家や会社の中ではプライベートIP、外に出る時は公開IP。ルーターのNATが仲介。
  • DNSが“名前⇔住所”を翻訳。DHCPが番号を自動配布。
  • IPv6の普及ネットワーク分離IoTの増加など、番号の設計と管理はこれからますます重要。
  • 困ったら「どこ(内側/外側)」「だれ(端末/ルーター/回線)」「いつ(常時/時々)」で切り分けるのが近道。

ご相談ください|「IPアドレスの設定が不安定、社内ネットワークがつながらない…」そんな時に

  • 自社の現状(回線・ルーター・アドレス設計・運用ルール)をシンプルに可視化したい
  • IPv4/IPv6・公開/プライベートの整理、命名ルールやIP管理表を整えたい
  • DHCPの設計・アドレス予約・固定IPの見直しをして、重複や抜け漏れをなくしたい
  • DNS(名前解決)・ゲートウェイ・ファイアウォールの確認と最適化をしたい
  • ゲスト用ネットワークの分離VPN設計、在宅/拠点間の接続ルール統一をしたい
  • よくある質問やトラブル対処フローを、誰でもわかる手順書にしたい

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